2025.11.21 日本建築学会・土木学会主催『BIM × CIM DX WG シンポジウム 建築と土木がオーバーラップする空港を例にして』を聴講しました
- 木寺 繭子

- 3 日前
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2025年11月21日(金)、日本建築学会・土木学会 (土木・建築タスクフォースDX-WG)主催『BIM × CIM DX WG シンポジウム 建築と土木がオーバーラップする空港を例にして』を聴講しました。シンポジウムでは、成田空港整備を事例として、3Dモデルを活用した事業推進のあり方や、データ管理・契約制度・人材育成に関する課題をテーマに議論されました。
基調講演「空港設計におけるBIM活用と海外事例」(㈱日建設計 安井謙介氏)の中では、空港整備事業における統合3Dモデルを用いた合意形成の実践等の最新事例が紹介されました。特に建築と土木が同じデータを扱うためには発注者主導の建設データマネジメントを行っていくことが重要だという指摘がありました。
事例紹介では、「空港の地盤改良工事におけるBIM/CIMの活用事例」(五洋建設㈱ 堤 彩人氏)、「空港(土木施設)のBIM/CIMについて」(国土技術政策総合研究所 畑 伊織氏、 港湾空港総合技術センター 西岡 護氏)、「成田空港の更なる機能強化事業実施設計段階におけるBIM/CIM活用の 取組み状況について」(成田国際空港㈱ 濱 聖哉氏、パシフィックコンサルタンツ㈱ 二又尚人氏)による講演がおこなわれ、それぞれ施工者、発注者の立場から空港設計におけるBIM/CIM活用について紹介がありました。
後半のパネルディスカッションでは、制度面および人材面の課題に焦点が当てられました。現状では依然として二次元図面による納品が主流であり、三次元モデルは追加資料として扱われるケースが多いことから、どの段階のモデルを正式な成果物とし、誰が更新・保証の責任を負うのかといった契約上の整理が必要であるとの指摘がありました。さらに、施工請負契約とは別に「データプラットフォーム運用」や「データマネジメント」を独立した業務として発注する新たな仕組みの必要性が提起されました。AI活用についても、BIM内部の属性データを構造化し、品質を担保することが前提となることが強調されました。
人材育成に関しては、若手社員の高い適応力と、ベテラン層に見られる技術的抵抗の双方に配慮した教育体制が重要であり、社内のキーパーソンを中心に段階的な研修を実施すること、発注者側は閲覧・検証に特化した役割分担を行うこと、また外部のBIMコーディネーターやデータマネージャを活用することが現実的な方策として示されました。加えて、海外では新技術導入時に「教育研修をセットで発注する」例が一般的であり、日本における普及促進の参考となるとの意見もありました。
今回のシンポジウムを聴講した感想としては、設計者、施工者、発注者三者の視点からBIM/CIMの取り組みについてそれぞれの立場を参照しながら議論できる貴重な機会だったと感じます。さらに、建築と土木の連続性にはまだまだ工夫が必要だと実感しました。また先に述べられていたようにデータ管理・更新の主体をどのように定めるべきかは、DX化において引き続き議論が必要なトピックであり、弊社としても引き続き最新の動向を追って参りたいと思います。





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