2025.07.25 特別シンポジウム『今だから聞く、建設産業と情報化の未来』を聴講しました
- 木寺 繭子
- 7月30日
- 読了時間: 3分
2025年7月25日(金)東京大学建築都市DX研究会主催 特別シンポジウム『今だから聞く、建設産業と情報化の未来』を聴講しました。
2025年7月25日(金)、当社の田島が運営委員も務めさせて頂いております、東京大学建築都市DX研究会(https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/CMRC/AUDX/)にて、特別シンポジウム『今だから聞く、建設産業と情報化の未来』が開催され、当社からも中倉が聴講致しました。
同研究会は、建築・都市分野のDXにおける課題理解と解決に向け、産学の情報交換や技術交流を促進することを目的として2023年4月に設立された研究会で、定期的に講演会やトークセッションを開催しています。
今回は、政策研究大学院大学教授の小澤一雅先生、神戸芸術工科大学学長の松村秀一先生、東京大学副学長の浅見泰司先生がご登壇されました。
小澤先生からは、インフラ分野におけるDXの必要性、国土交通省が推進する「i-Construction」の推進状況、データ利活用と共通データ基盤(CDE; Common Data Environment)の構築、DX推進のための人材育成等についてのご説明がありました。企業においては、経営層の要求と現場の抵抗の板挟みになるDX推進担当者が多いという現状にも触れられ、全体を推進する人材、現場課題をデジタルで解決する人材、そして両者をつなぐ“橋渡し”のDX人材の育成が鍵となる点を指摘していました。
松村先生からは、ご自身が委員長を務められている国交省BIM推進会議(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/kenchikuBIMsuishinkaigi.html)
に関連した動向を中心に、建設分野におけるBIMやDXの課題について共有いただいた上で、建築(BIM)・不動産(ID化)・都市(PLATEAU)のデータ連携やその活用による未来像についてお話頂きました。特に、都市の建物を資源とみなし、解体で生じる部材を予測し、再利用するような、いわば“都市の資源工学”と呼ばれる分野に新たな可能性を見出したり、AIによる設計が進むほど、逆説的に、豊かなプロセスと住まい手による設計が肝要になるという点について実例を交えてご紹介されたり、巧みな話術で会場を盛り上げていました。
浅見先生からは、都市工学的な観点で情報化社会の展望を述べていただきました。爆発的に情報量が増加する中で、研究手法も、仮説を立てて、データを収集し、立証するという旧来の検証的研究から、データが呼び水となって、その利活用の探索的研究を行うというスタンスに移行しています。また、伝統的な三大生産要素である土地、労働、資本の価値が情報技術の進展によって相対的に低下する一方で、情報の価値はますます高まっており、リアルタイム性を高めるといった技術的な側面と、センシングしたデータをプラットフォーム上で共有するといったビジネス的な側面の両輪で考えなければならないことが改めて示唆されました。
普段弊社においてプロジェクトベースで業務にあたっていると、共有パラメータやファミリ、テンプレートの整備といった技術的な課題を解決することに注力することが多いですし、それが喫緊の課題であることも間違いないのですが、一方で、建築・建設業界全体の高齢化が進行する中で、国交省が施策として目指す未来像やさらにその根幹となる研究分野についての理解を深めることも、同様に重要だと改めて認識する貴重な機会となりました。



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