2024年8月2日、鉄骨工事専門会社の株式会社辻鉄商工様を訪問し、付帯鉄骨工事におけるBIM活用の先進事例を共有頂くと共に、建設業界の動向について意見交換させていただきました。
同社は、約15年前に構造設計用BIMソフト「Tekla Structures」を導入し、複雑な取り合い・納まりの検討が必要な付帯鉄骨工事等に活用し、BIMを活用した業績を拡大しています。BIMの活用により、独自コンポーネントの開発や情報共有のルール化、ヒューマンエラーの予防を推進し、設計打合せから、承認、発注、製作までのタイムラグを最小限にすることで、業務全体のワークフローを健全な状態に保つことが可能になり、結果的に顧客の信頼に繋がっているという確かな実感があるといいます。
意見交換会は、辻雷太社長はじめ設計部の方々にご同席頂き、過去プロジェクトでのBIM活用状況や課題をテーマに行いました。その中で同社で特にBIMの有用性が発揮されたケースとして、放送局や音楽ホールの改修工事の事例についてご説明いただきました。このような、既存の躯体の状況を調査しつつ、一方で複雑な形状の天井下地鉄骨が現れてくるケースでは、設備ダクトとの干渉を避けながら様々な条件をクリアする設計が必要になり複雑な作業となりがちですが、同社ではTeklaを活用することで、非常に短期間で設計をとりまとめることが可能になった、とご紹介いただきました。また、新築高層ビルのカーテンウォール取り付け部など、複数の施工図が混在する箇所において、3Dモデルを作成する過程で不整合が明らかになるケースもあり、協力会社を含めてさらにBIMの導入・活用を推進したいという将来的な展望についてもお聞かせいただくことができました。
当社からは、設計段階におけるBIM活用事例として、パラメトリックデザインを、総合BIMソフトであるRevitとどう連携するか、をテーマに取り上げました。実際のプロジェクトの中で、局面屋根や球体内のスロープの下地の鉄骨レベルを、意匠の変更に伴って自動的に書き出すというフローをいかに実現させるかのために行った工夫や課題について紹介しました。また、点群データ活用の展望についても熱い議論を交わすことができ、非常に有意義な場を設けていただいたと感じました。
設計段階でのBIMコンサルに関わることの多い弊社にとって、施工・製作の現場でのBIM活用の最新動向を学ぶ貴重な機会となりました。辻鉄商工様に改めて御礼を申し上げます。
意見交換の様子
自社工場にて複雑な部材のモックアップを作成。設計検討に有効活用している。
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